大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)1042号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕第二、事故態様
<証拠>によれば、本件事故現場は東西に通ずる幅員七メートルの西行車道上で、付近に岸和田競輪場があり、事故当日競輪が開催されていたので、同道路南側の歩道や北側のグリーンベルト上に駐車車輛が置かれて歩行者は歩道を歩けない状態であつたが、訴外本田は加害車を運転して時速約四〇キロメートルで同道路中央部分を東から西へ向けて走行し、左前方約四〇メートルの地点付近に同道路の南側の車道上を東進してくる被害者を認めたが、そのまま直進走行しても接触する状況にないものと考えて同一速度のまま進行したところ、右前方にグリーンベルトへ後ろ向きに駐車させようとして加害車の進路方向に前進してきた車輛を認め、危険を感じて左転把したため、加害車の左側バックミラー付近を被害者の左肩部付近に接触させるに至つたことが認められる。被告は原告が車道上を新聞を広げて俯向いて歩いていたと主張し、証人本田二八郎もこれに添う証言をするが、右は証人上村博の証言および原告本人尋問の結果と対比してたやすく措信しがたい。これによれば、訴外本田は、歩道上に駐車車輛が並び歩行者が歩道を歩行することができない状態であることを知つており、かつ、車道上を歩行してくる被害者を前方約四〇メートルの地点に認めていながら、減速せず、時速約四〇キロメートルで進行し、進路前方に接近する車輛を認めて、歩行者に対する注意も払わず、急拠左転把したものと認められるから、同訴外人に運転上の過失のあつたことは明らかである。一方、歩行者である原告に特段の不注意があつたと認めるに足る証拠はない(仮りに原告の歩行状況が被告の右主張どおりであつたとしても、訴外本田の前記過失と対比して、極めて軽微で過失相殺するほどではない)ので、過失相殺はしない。
(吉崎直弥)